2012/01/06

ローターブレーダーによる心血管治療

心臓病は、がんに次いで日本人の死因の第2位となっており、増加傾向にあります。時に心臓病により突然死が生じますが、突然死を招く原因の多くは、心臓の血管である冠動脈が突然完全に詰まってしまう心筋梗塞です。その前段階である狭心症では冠動脈が完全に詰まってしまわないものの、コレステロールの血管への沈着により動脈硬化が生じ、その結果、冠動脈が狭くなる狭窄状態となります。

従来は薬剤内服による治療か、全身麻痺や開胸を必要とする冠動脈バイパス手術の二つしか選択肢がありませんでしたが、1980年代になると局所麻酔のみで行う、体に優しい心臓カテーテル治療(PCI)が急速に普及するようになりました。

当初はバルーンによる狭窄部分の拡張が主流でしたが、まもなく金属のメッシュの管であるステントが導入され、7年前からは再狭窄率をさらに減少させる薬剤溶出液ステントも普及するようになり、PCIが狭心症や心筋梗塞と言った冠動脈疾患に対する治療の主流を占めるようになりました。

しかし、動脈硬化が顕著で石のように固くなった重症石灰化病変に対しては、バルーンやステントによる十分な通貨、拡張が極めて困難です。そこで1990年代の後半に登場したのが、ダイヤモンドのドリルを高速に回転させながら前身、後退を繰り返し、病変を貫通させるローターブレーダーです。

ローターブレーダーは、削られた石灰化病変の粒子を末梢に詰まらせることなく、固くなった狭窄部位を効果的に削り、その後のバルーン、ステントによる拡張を十分効果のあるものにすることができます。

ただし、劇的な治療効果を有するものの、ローターブレーダーには熟練したカテーテル操作技術が必要であり、通常のPCIよりリスクが高いとされています。したがって、心臓血管外科の24時間体制、年間のPCI件数など、厚生労働省が策定した高水準の治療体制が整っている医療機関においてのみ、施行することができます。